年収650万円で都心の家は購入可能?

年収650万円で都心に家を持つことは可能でしょうか。多くの方が、高騰する不動産価格を前にそう思われているかも知れません。この記事では、最新の不動産価格をもとに、都心部で日本人が家を購入するための現実的な選択肢を解説します。

目次

「都心の家は高すぎる…」は本当?

都心の家は高すぎて、自分には手が届かないのではないか。多くの人が抱くこのイメージは、2025年現在の不動産市場において、果たして実情と合致しているのでしょうか。最新の市場データを見ると、都心部の不動産価格は依然として高値圏で推移しており、価格上昇が継続している状況と見て取れます。都心部では、新築・中古ともに1億円を超える物件が一般化しており、千代田区、港区、渋谷区といったエリアが価格を牽引しています。

高騰が続く都心マンションの平均価格データ

都心のマンション価格がどれほど高騰しているか、具体的なデータを見ていきましょう。不動産経済研究所が2024年1月に発表したデータによると、2023年の東京23区における新築マンションの平均価格は、前年で39.4%上昇し、初めて1億円を突破しました。東日本レインズのデータでも、2024年の23区新築マンションの平均価格は8,700万円、1平方メートルあたり約140万円と、非常に高水準で推移していることがわかります。

中古マンションや戸建ての価格推移と現状

新築マンションが高騰を続ける中、中古マンションや戸建ての価格も変動しています。公益財団法人東日本不動産流通機構のデータによると、首都圏における中古マンションの平均価格は近年上昇傾向にあり、特に2025年4月には70㎡換算で5,535万円を記録しています。東京23区内に限ると、平米あたりの単価も上昇が続いており、築年数帯によっては過去最高値を更新しているエリアも見られます。過去30年で見ると、かつては中古戸建ての方が高価でしたが、現在は中古マンションの平均価格が上回る状況です。

なぜ都心不動産価格は高騰し続けるのか?専門家が分析する3つの理由

前のセクションで、都心部の不動産価格が近年著しく高騰し、平均価格が1億円を超える状況であることを確認しました。特に、都心6区などの人気エリアでは、その上昇傾向が顕著です。では、なぜこれほどまでに価格の高止まり、さらには上昇傾向が続くのでしょうか。

この背景には、単なる需給バランスの変化だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。不動産市場の専門家は、主に3つの構造的な理由が現在の価格水準を形成していると分析しています。

活発な再開発プロジェクトとインフラ整備の影響

都心部、特に渋谷や品川、虎ノ門・麻布台といったエリアでは、現在も大規模な再開発プロジェクトが活発に進んでいます。これらのプロジェクトは、単に古い建物を建て替えるだけでなく、新しい商業施設やオフィスビル、ホテル、文化施設などを複合的に整備し、街の機能や景観を大きく変貌させています。同時に、新しい駅の開業や既存路線の延伸・乗り入れといった交通インフラの整備も進められています。こうした再開発やインフラ整備によって、対象エリアは飛躍的に利便性が向上し、働く場所と住む場所が近い「職住近接」のニーズも高まります。

海外投資家による購入の活発化

都心不動産価格が高騰を続ける背景には、海外投資家の購入が活発化している現状も挙げられます。円安の進行により、外国人投資家にとって日本の不動産が相対的に割安になっていることに加え、政治や経済の安定性から、日本の不動産が安全な投資先として注目を集めているためです。

特に、東京の都心部や湾岸エリアにあるタワーマンションや高級物件は、海外からの人気が非常に高い傾向にあります。千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区といった都心6区では、こうした動きが顕著に見られます。また、不動産調査会社によると、都心から少し離れた武蔵小杉や府中といったエリアでも、海外投資家による購入が増加しているとの指摘もあります。

継続する低金利と住宅ローン控除

都心不動産価格の高騰には、現在の金融政策による低金利環境と住宅ローン控除制度も影響しています。日本銀行の政策金利は低水準に据え置かれており、これに伴い住宅ローンの変動金利も比較的低い水準を維持しています。2025年5月時点でも低金利が続いていますが、2024年の日銀による政策変更以降、金利は緩やかな上昇傾向も見せており、今後の動向には注意が必要です。低金利での借り入れは、月々の返済額を抑えることができるため、購入者にとって大きなメリットとなります。

さらに、住宅ローン控除制度も住宅購入を後押ししています。この制度は、住宅ローンを借り入れて居住用家屋を購入・リフォームした場合に、年末の借入残高の0.7%が所得税などから最長13年間にわたって控除されるものです。2024年度の税制改正では、子育て世帯や若者夫婦世帯に対する借入限度額の上乗せ措置も講じられています。

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【徹底比較】都心でマイホームを持つための選択肢と現実

ここまで、2025年現在の都心不動産市場の現状と価格高騰の背景にある要因を見てきました。「都心の家は高すぎる」というイメージは、ある程度現実と合致する部分があることを確認できたでしょう。しかし、それでも都心でマイホームを持つことを諦める必要はありません。多様な選択肢を比較検討し、ご自身のライフプランや経済状況に合った賢い方法を見つけることが重要です。

このセクションでは、都心でのマイホーム購入において考慮すべき様々な選択肢を具体的に提示し、それぞれの特徴や現実的な側面を詳しく比較していきます。

比較①:新築マンションvs中古マンションの価格と特徴

都心でマンションを購入する場合、新築と中古という大きく二つの選択肢があります。新築マンションは、最新の設備やデザインを備え、すべてが新品である点が大きな魅力です。一方で、価格は一般的に中古に比べて高額で、販売価格には広告費や販売経費が含まれるため、購入直後に市場価値との乖離が生じることがあります。また、管理費や修繕積立金は当初設定されていますが、将来的に値上がりする可能性も考慮しておく必要があります。

比較②:マンションvs戸建ての購入難易度と将来性

都心でマイホームを検討する際、マンションと戸建てのどちらが良いか悩む方は多いでしょう。都心部では、土地の価値が高額なため、戸建てはマンションと比較して価格が高くなる傾向があります。特に東京23区では、新築戸建ての平均価格が1億円を超えるエリアも見られ、購入のハードルは高いと言えます。マンションは立地や築年数、広さなどによって価格帯が幅広く、中古も含めると物件の選択肢が多いのが特徴です。初期費用も価格に比例して高額になりますが、物件探しの難易度としては、都心部では戸建ての供給が限られるため、マンションの方が選択肢が広く比較的容易と言えます。

比較③:都心3区vs都心6区vs23区全体の価格相場

東京都内でマイホームを検討するにあたり、エリアごとの価格相場を把握することは非常に重要です。都心部はさらに細分化でき、特に高額とされるのが千代田区、中央区、港区の「都心3区」です。これに新宿区、文京区、渋谷区を加えた「都心6区」も、都心としての機能が集積するエリアとして知られています。そして、これらを含む「東京23区全体」では、エリアによって価格帯に大きな差が見られます。

具体的な価格相場を見てみると、都心3区や都心6区では、新築・中古マンションともに㎡(平方メートル)単価が非常に高い水準にあります。例えば、中古マンションの㎡単価は、千代田区では140万円台後半から、港区では160万円台後半からとなる傾向が見られます。一方、23区全体で見ると、都心から離れるにつれて価格は下がり、葛飾区などでは50万円台前後からの物件も選択肢に入ってきます。この価格差は、交通利便性の高さ、商業施設の充実度、ブランド力、そして再開発による将来性など、さまざまな要因によって生じているものです。

項目東京23区首都圏近郊エリア
物件価格高い抑えられる
物価高い傾向抑えられる
都心への通勤時間短いが混雑しがち長くなる傾向(場所による)
交通利便性、商業・文化施設充実している都心より劣る傾向(場所による)
居住空間、自然環境手狭になりがち広い空間や自然環境が魅力となる場合がある

比較④:東京23区vs首都圏近郊の価格差と生活コスト

東京23区内での物件探しが難しい場合、視野を首都圏近郊エリアに広げることも現実的な選択肢となります。例えば、神奈川県(横浜、川崎)、埼玉県(さいたま)、千葉県(千葉、船橋など)が含まれます。東京23区とこれらのエリアでは、物件価格に大きな差が見られます。不動産経済研究所のデータによると、2009年度から2022年度にかけての新築マンション価格上昇率は、東京23区が191%と他の首都圏エリアより顕著に高くなっています。また、東京カンテイの2023年のデータでは、東京23区の中古マンション平均価格(70㎡換算)は7,055万円に達しており、価格水準が高いことがわかります。

物件価格以外に、生活コストも考慮が必要です。東京23区は物価が高い傾向にありますが、首都圏近郊では比較的抑えられます。

比較⑤:住宅購入vs生涯賃貸のコストシミュレーション

都心で暮らす場合、住宅を購入するのと生涯賃貸を続けるのとでは、どちらが経済的に有利になるのでしょうか。それぞれの生涯にわたる総費用をシミュレーションしてみましょう。

生涯賃貸の場合、毎月の家賃に加え、2年ごとの更新料、数年ごとの引っ越し費用、火災保険料などが継続的に発生します。仮に月々の家賃が12万円、更新料が家賃の1ヶ月分、そして10年ごとに引っ越しをすると想定した場合、これらの費用が長期にわたり積み重なることになります。家賃は物件やエリアによって変動しますが、都心部では高額になる傾向があります。

比較⑥:ペアローンvs単独ローンのメリット・デメリット

都心でのマイホーム購入を検討する際、住宅ローンの組み方も重要な要素です。特に共働きのご夫婦の場合、ペアローンと単独ローンという選択肢があります。ペアローンとは、夫婦それぞれが住宅ローンを借り入れ、お互いが連帯保証人となる形式です。一方、単独ローンはどちらか一方の名義で住宅ローンを組みます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況に合わせて慎重に検討する必要があります。

ペアローンの最大のメリットは、夫婦それぞれの収入を合算できるため、単独で借りるよりも借入可能額を増やせる可能性がある点です。これにより、希望する価格帯の物件が選択肢に入りやすくなります。また、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるため、控除額が大きくなるメリットも期待できます。しかし、デメリットとしては、手続きが二つ分必要になるため煩雑になりやすいこと、どちらか一方の収入が減少した場合に返済負担が増すリスクがあること、将来的に離婚となった場合に問題が発生する可能性があることなどが挙げられます。諸費用も二重にかかることが一般的です。

比較⑦:変動金利vs固定金利のリスクと選び方

住宅ローンを組む際、金利タイプ選びは重要な要素の一つです。「変動金利型」は市場金利に連動し、当初は金利が低い傾向があるため、返済額を抑えやすいメリットがあります。しかし、将来的に金利が上昇するリスクがあります。一方、「固定金利型」は金利が一定期間変わらないため、返済額が安定し、金利上昇リスクを回避できる安心感があります。ただし、変動金利に比べて当初金利が高めになる傾向があります。

どちらを選ぶかは、ご自身のライフプランやリスクに対する考え方によって異なります。金利が上昇しても対応できる方や、積極的に繰り上げ返済を考えている方には変動金利が適しています。一方、将来の返済額を確定させて家計への負担を安定させたい方には、固定金利が適していると言えます。特に、家計管理の安定性を重視する方には固定金利が向いています。

比較⑧:資産価値が維持されやすい物件の共通点

都心部でマイホームを購入する際、将来的な住み替えや売却を考慮すると、資産価値が維持されやすい物件を選ぶことも重要な視点です。資産価値が維持されやすい物件には、いくつかの共通点が見られます。

  • 立地条件(交通利便性、生活利便性など)
  • 建物の管理状態や品質
  • 将来的な再開発計画の有無

まず、交通利便性や生活利便性の高い「立地条件」が挙げられます。特にマンションにおいては、駅から近い物件ほど資産価値が高い傾向にあることが知られており、国土交通政策研究の調査では、駅から1分離れるごとに坪単価が減額されるというデータもあります。また、周辺に商業施設や公共施設が充実しているなど、日々の生活が送りやすい環境も資産価値に寄与します。

【年収650万円】都心で家を買う場合のリアルな資金計画シミュレーション

年収650万円で都心にマイホームを持つことは、資金計画をしっかり立てることで現実的な選択肢となります。住宅ローンの借入可能額は、金融機関や個々の状況によって異なりますが、一般的に年収の6〜7倍、場合によっては8倍程度が一つの目安とされています。この基準に基づくと、概ね5000万円台から6500万円程度の借入を想定できるでしょう。

この借入額で物件を探す場合、都心部の新築マンションでは選択肢がかなり限られる可能性が高いです。しかし、中古マンションであれば、築年数や広さ、エリアを調整することで、より多くの物件が視野に入ってきます。東京23区内でも、比較的価格帯が抑えられるエリアや、築年数が経過した物件を選べば、戸建ても検討できる場合があります。

現実に即した借入可能額と物件価格の目安

年収650万円の方が都心でマイホームを購入する場合、まず気になるのは住宅ローンの借入可能額でしょう。金融機関の審査基準では、一般的に年収の5倍から7倍程度が目安とされており、返済負担率は年収に対して20%から25%以内が無理なく返済できる範囲とされています。これらの基準に当てはめると、年収650万円の場合、概ね3,000万円台後半から4,000万円台前半の借入を検討できる可能性が高いと言えます。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、金融機関によっては審査基準が異なるため、これより多くの金額を借り入れられるケースもあります。

月々の返済額はいくらになる?家計への負担を検証

前セクションで、年収650万円の場合、概ね3,000万円台後半から4,000万円台前半の借入を検討できる可能性が高いことを見てきました。では、この借入額で都心にマイホームを持つ場合、月々の返済額はいくらになるのでしょうか。仮に4,000万円を固定金利1.5%で35年間借り入れたとすると、月々のローン返済額は約12.2万円となります。

ただし、実際に家計から支出されるのは、このローン返済額だけではありません。住宅を維持していくためには、ローン返済以外にも以下の費用が発生します。

  • マンションの場合:管理費、修繕積立金(毎月)
  • 戸建て・マンションいずれの場合も:固定資産税、都市計画税(毎年)

これらの維持費も含めた「住居関連費」全体で考える必要があります。

これらの住居関連費が年収に占める割合を示すのが「返済負担率」です。返済負担率は、年間返済額(住宅ローン+その他の借り入れ)を税込み年収で割って算出します。

無理なく購入するために必要な自己資金の額

都心でマイホームの購入を検討する際、自己資金の準備は非常に重要です。自己資金は、主に住宅購入にかかる諸費用と、物件価格の一部となる頭金に充当されます。諸費用には、仲介手数料や登記費用、不動産取得税などが含まれ、これらは一般的に物件価格の6%から10%程度が必要です。

自己資金として用意すべき金額の目安は、かつては物件価格の20%が必要と言われていましたが、近年は住宅ローンの種類が増え、頭金なしでも購入できるケースも増えています。しかし、政府統計などのデータを見ると、平均的な自己資金の割合は30%前後とする調査結果もあります。物件価格の20%~30%程度の自己資金を用意できると、資金計画に余裕が生まれやすいと言えるでしょう。

住宅購入でのペアローンがもたらす見えない恐怖

都心の不動産価格は今後どうなる?購入に向けた具体的な戦略

これまでの解説では、2025年現在、都心部の不動産価格が高騰傾向にあり、いくつかの要因が複合的に影響している状況をお伝えしました。では、今後、都心不動産価格はどのように推移するのでしょうか。専門家の間でも様々な見方がありますが、都心部の需要は引き続き堅調であり、特に価値の高いエリアでは価格の高止まり、あるいは緩やかな上昇が続く可能性が指摘されています。

2025年以降の不動産マーケット予測

都心の不動産価格について、今後の見通しに関して複数の専門家が見解を示しています。2025年以降も、都心部、特に千代田区や港区といった中心部では、引き続き堅調な価格推移が見込まれるという予測が多く聞かれます。これは、限定的な供給と高い需要、富裕層の購入意欲に支えられているためと考えられています。

一方で、不動産価格の変動に影響を与える大きな要因として、日本銀行の金融政策や国内外の経済動向が挙げられます。2024年にはマイナス金利政策が解除され、長期金利が上昇基調となりました。2025年に入ってからも金利の上昇が見られており、金利の上昇は住宅ローンの負担増につながるため、今後の市場動向を注視する必要があります。

今が買い時?専門家の意見と購入タイミングの見極め方

都心でのマイホーム購入を検討するにあたり、「今が買い時なのか?」という問いは多くの方が抱かれる疑問でしょう。不動産市場の専門家の間でも、見解は分かれています。金利上昇の可能性を指摘し慎重な姿勢を示す意見がある一方、都心部の根強い需要から価格は高止まりが続くと見る向きもあります。このように、特定の時期を一律に「買い時」と判断するのは難しい状況と言えます。

購入の最適なタイミングを見極めるには、以下の要素を総合的に考慮する必要があります。

  • 住宅ローン金利(変動・固定)の最新動向と予測
  • 物件価格の推移と今後の見通し
  • ご自身の年収や貯蓄、ライフプラン
  • 経済全体の状況や関連する支援制度

特に住宅ローン金利は、今後の返済額を大きく左右するため、専門家が予測する金利上昇の可能性なども踏まえて注視することが大切です。

失敗しないための物件選びで押さえるべき重要ポイント

都心で理想のマイホームを見つけ、後悔しないためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。単に価格や間取りだけでなく、将来を見据えた多角的な視点が欠かせません。

まず、その土地の将来性を見極めるための情報収集は非常に重要です。例えば、水害や土砂災害などのリスクを示す「ハザードマップ」は必ず確認しましょう。リスクエリアに該当する場合、将来の資産価値や流通性に影響が出たり、火災保険や地震保険の保険料が高くなるケースがあります。また、周辺の「再開発計画」の有無もチェックすべきです。再開発は街の魅力や利便性を向上させ、長期的な資産価値の維持・向上につながることが一般的です。

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